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入力を早めるための工夫

(2014-05-24)

5月4日から5月23日まで

前回の話で600冊の帳簿を入力するだけで31年以上かかってしまいそうだと書きましたが、これでは生きているうちに作業が終わらないだけでなく、入力した内容を味わうことさえできません。

そこで、まず、第一に考えたことは、ソフトウエアの力によって、入力を支援しようということでした。入力を容易にすばやくできるようにし、また、入力した内容のチェックを容易にしかも確実にできるようにすることです。入力は古帳簿を読みながら行いますからたっぷり時間がかかりますが、入力内容の信頼性がないと利用できませんので、そのチェックにも入力に劣らない時間がかかります。そのためには、Apache OpenOffice Calc(旧名、OpenOffice.org)という無償の表計算ソフトの上で動くマクロというプログラムを書いて、その力を借りることにしました。約3週間かかって落ち着いたかたちがこれらの画像です。

最初の画像はコンピュータ画面上の作業環境を表しています。画面の上半分にDatini帳簿、下半分に表計算ソフトの表、そして、表の右上を覆うかたちでダイアログが表示されています。このダイアログ部分を拡大表示したのが2番目の画像で右に表示されています。実際の作業はこのダイアログ上で行います。

このダイアログの左側の上のボックスにDatini帳簿の仕訳の本文を仕訳ごとに入力します。"Da Bartolo di Betino chalzolaio, a dì detto, s. sette, chome apare al Quadernacio sengnato F, a c. 2,"と入力されている部分です。仕訳にはそれぞれコードをふります。ダイアログの右上に「295-2R-01」と見えるのがそれで、これは「Entrata e Uscita F」という帳簿の2枚目の紙の表側の第一番目の仕訳であることを示しています。このダイアログの左上タイトルバーに「295 - Entrata e Uscita F」と見えますが、これによって作業中の帳簿名を確認できるようにしています。ダイアログの右上の2番目のボックスには「318-2V-01」という記号が見えます。これは最初の仕訳がどこから転記されてきたかを示す転記元の仕訳コードです。これはQuadernacchioという帳簿が転記元で、ダイアログの右下青地部分に「318 - Quaderbnaccio F」と表示されていることで帳簿名を確認できます。この仕訳はダイアログの左下"Da Bartolo Bettini, chalzolaio, a dì 1 di diciebre, per una baletta da guado, vota, s. sette, a etrata a Libro segn. F, a c. 2."にその本文が表示されています。この本文を較べてみると内容が大変よく似ていることにお気づきでしょう。この取引の相手は靴屋(chalzolaio)のBartolo Bettiniさん, 金額は7ソルディが共通となっています。また、日付にも関連があります(ここでは最初の仕訳の記述がa dì detto(上記の日)となっているため、はっきり現れない)。そして、第一の仕訳(これは入金仕訳ですが)には、この仕訳の相手がQuadernacioの2枚目の紙であることが、また、第二の仕訳の相手がEntrata(この時代はよくnを省略してetrataと書かれます)の2枚目の紙であることが書いてあります。私達はこの仕訳本文の記述を頼りに相手仕訳を突き止め、一つ一つこのように入力していきます。入力した結果はダイアログ上のコマンドボタン(仕訳本文の右下欄外にそれぞれついている小さな四角のボタン)をクリックすると、ダイアログから表の上に転記できます。その他、入力を容易にするための工夫が色々ありますが、ここでは省きます。転記した結果が左下の画像です。

また、仕訳コードの右側の第一のGOボタンをクリックすると、この仕訳を含むDatini帳簿の画像が表示されます。著作権の制限により、仕訳本文とこの画像が対応していないのが残念なのですが、これを表示できるところが今回のプログラミングで一番苦労したところです。また、その応用プログラムで、同じGOボタンをダブルクリックすると、Maria Alessandra Bernocchiさんの博士号請求論文に付属のDatini帳簿の全タイプ文の該当頁を表示することもできます。これによって、私たちのツールが完成すれば、私達がたどりつつあるようにDatini帳簿を読み始めるひとのための入門システムとして使うことも可能だと思います。

以上がこの約20日間の成果です。どこが、入力、チェックの迅速・確実化に寄与するか、以上からお分かりだと思いますが、この比較対照しながらの入力が鍵です。この比較対照によって、例えば人名など、一方の帳簿だけで読めなかったものが、他方の帳簿と照らし合わせることにより読めるようになったりもします。確実に入力したという感覚をはっきり得られるようになったのもいい効果です。そんなことで、Archivio(Datini古文書館)のC嬢に見てもらったところ、特にDatini帳簿画像がパッと現れるところなど「おっ!」と声を上げてとても喜んでくれました。すぐ館長さんにもこのことをお話したみたいで、それまでのArchivioの味噌っかすが、閲覧室の隣の丸テーブルを囲んでケーキとシャンペンで職員の一人のサプライズ誕生祝をしたとき、部外者なのに声をかけて貰ったりと、それ以来ちょっと見方を変えてもらえたような気配が感じられます。
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Datini帳簿の入力を始めました。

(2014-05-04)

4月15日から5月3日
(右の写真はフィレンツェのドゥオーモの大丸窓のひとつ。丸窓を時計と見たときの12時当たりに羊のマークがあります。これは当時の羊毛業組合のステンマです。組合がこの丸窓を寄進したのでしょうか?)

 ちょっとブログ記事を書かないでいると、あっという間に1週間・2週間が過ぎてしまいます。そのうち一月も過ぎてしまうのでしょう。そして一年が過ぎ、年齢も増えていく。こちらでも春は過ぎ、皐月の風を受けながらツバメが俊敏に舞っているのが窓から見えるようになりました。それだけ、昆虫も沸き立っているのでしょう。朝晩はそれでも冷えて、特に朝は上着が必要です。そして、Datini館では絶対に上着は脱ぎません。とてもひんやりしているのです。


 そんな閲覧室で、私たちは朝9時から12時まで、休日以外の開館日は毎日、古帳簿を読んだり、古帳簿を写真撮影したり、染色会社の古帳簿が私たちの把握しているもので全部なのかどうかを確認する作業を続けています。例の性別がおかしな滞在許可書がおりる少し前から古帳簿の入力を始めました。写真撮影についても大分要領がよくなってきました。古文書館で写真を撮るときは申請して一冊につき3ユーロを州に納めることは3月に書きましたが、これは郵便局から郵便振替のような用紙を使って納めます。ところが、州に納めるのに、一回の振込みにつき1.3ユーロの手数料がかかるのです。3ユーロに対して1.3ユーロ?日本だったら、只のはずなのに高すぎる!・・・と思い、この頃は3冊分9ユーロを納め、手数料を合わせて10.3ユーロを支払いようにしました。これなら少しは許せる。それはさておき、肝心の撮影ですが、これは一日一冊の撮影ができるようになりました。しかし、撮った写真の画像の一部に欠落はないか、ぼけていないか、撮り漏れが無いかなどのチェックをし、そしてファイル名を変更する作業を合わせると、1冊を撮影整理し終わるのにほぼ1.5日から2日かかります。ファイル名は、例えば、Memoriale F(備忘帳簿F)にはDatini館の蔵書番号312がふられています。そして各葉には何枚目かを記す番号が振られていますのでこれが表と裏の2頁ずつあります。そこで、私たちは Memoriale Fの2枚目の表を撮影した写真に312-002Rというファイル名を、そして2枚目の裏を撮影した写真には312-002Vを与えることにしています。普通、デジカメの写真ファイルにはDSC001とかSDIM0123とかいう番号が自動的に充てられますから、これを312-002Rや312-002Vといったファイル名に変更していくわけです。こうすると、ある帳簿の写真ファイルはひとつのフォルダー(ディレクトリ)にまとめて保存しておきますので、そのフォルダーの中ではちょうど古帳簿を手で順番にめくっていけるようにきれいに並びます。もちろん、古帳簿の何枚目の表か裏を見たいときにも、その写真ファイルをすぐ探すことができます。これはとても大切なので、このファイル名変更作業は欠かせません。ところが、最近はこのファイル名のつけ方を間違って約200あったファイルの半分のファイル名を同じ名前で上書きしてしまいました。結局写真を取り直し、チェックし、ファイル名の変更のやり直しです。やり直しというのは夢が無くて疲れるよね。でも、やらないと次へ進めません。

 帳簿データの入力は、自作の会計システムがOpenOffice.orgCalcというフリーの表計算ソフトの上で動きますので、当然、表計算ソフトに入力していく作業になります。この半月の試行錯誤で、古帳簿に書いてあることをすべて入力する方針に落ち着きました。そして、各仕訳に仕訳番号を振り、同時に仕訳の転記先の仕訳番号、仕訳の転記元の仕訳番号も入力していく方針も固めました。現在、帳簿は7種類あり、さらに3種類増えそうですが、この10種類の帳簿について、その帳簿内容と仕訳番号を入力し終えると、ある帳簿のひとつの仕訳について、その転記先、転記元の古帳簿の内容を対照して表示することが可能になります。もちろん、この段階では、まだ会計帳簿になりませんが、仕訳を追いかけていくことができるとすれば、Datini帳簿にとって画期的なことだと思います。内容の入力を先にして、その後仕訳番号の入力に移る予定ですが、内容の入力の実績からすると、一日に2枚から3枚入力してチェックまで終えるという作業スピードになっています。では、この作業にどの位かかるでしょうか。帳簿の枚数は7種類だけで530枚あります。すると、これまでのスピードでは、7種類の帳簿内容の入力だけで、177日から265日からかかる計算になります。これに仕訳番号の入力に時間がかかりますが、これにどの位かかるかまだ実績がありません。そして、それらの作業が終わった後に各仕訳の属性に応じて表計算の列にその内容を分解していく作業が続きます。この段階では諸先生のご指導を仰がなくてはいけません。いずれにしても、帳簿内容の入力は一日あたり最低4頁にアップしなければいけないと思います。でも、目がとても疲れるので、なるべく家内と交代しながら一日8時間程度の入力に抑えないと長続きしないでしょう。一冊あたりの枚数はこの7種類の帳簿の場合、平均して76枚になります。これがDatini帳簿全体を代表しているとはとても仮定できませんが、一応これが平均とみると、Datini帳簿全体が600冊ということですから、全部で45,600枚。すると、一日4枚の入力で11,400日。これは一日も休みなしで31年3ヶ月。これはあかん!何かスピードアップの方法を考えねば。でも、その方法を考えるためにも、今は試行錯誤しながら、入力していく段階です。

 Datiniの古文書館の閲覧室では、いろいろな研究者が古書の閲覧をしていますが、たいていは帳簿ではなく、手紙や文書を読んで、そこからいろいろな情報を汲み取る作業をしています。私達の作業はそれとは違って、他の研究者の研究を助けるための作業です。しかし、私達が入力したものが少しずつ増え、その利用法を思い浮かべるたびに、これは必ず、Datini帳簿の研究密度、研究進度を飛躍的に高めるに違いない・・・と、密かにその実感が滲み出てきます。染色業の会社についてだけでも、はやく実際に使って貰えるようにしたいのです。


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